美術部
涅槃図完成
美術部から一人の英雄が去る。しかし、これは卒業を意味するのか? 否! 始まりなのだ!
サッカー部や水泳部などに比べ、我が美術部の国力は30分の1以下である。
にもかかわらず今日まで戦い抜いてこられたのは何故か?
諸君! 我が美術部の活動内容が個性的で面白いからだ。これは諸君らが一番知っている。
我々は部員によっては運動部を離れ、美術部にやってきた。
そして、キラキラと輝いた汗を弾けさせながら活躍できる各部同好会が、多くの新入生を勧誘して100余年、
観性館の片隅に住む我々が運動部のように多くの新入部員を求め、何度挫折したか。
美術部の掲げる人類一人一人の表現のための戦いを仏が見捨てるはずはない。
先輩の作品! 諸君らが愛してくれた涅槃図が完成した!
何故だ⁉
「先輩が頑張ったからさ」 (シ●ア)
新しい時代の表現で称賛を部員が得るは、歴史の必然である。
ならば、我らは襟を正し、この戦局を打開しなければならぬ。
我々は過酷な作業空間を制作の場としながらも共に苦悩し、錬磨して今日の文化を築き上げてきた。
かつての美術部部長は人類の革新は宇宙の民たる我々から始まると言った。
しかしながら多くの場合、自分たちがなんでも表現できる表現してよいと勘違いし我々は苦闘する。
諸君の先輩も、後輩もその表現欲求と現実の前に苦悩していったのだ!
この苦しみも喜びも忘れてはならない! それを、先輩は涅槃図制作をもって我々に示してくれた!
我々は今、この喜びを結集し、新入生にむけて発信し、初めて真の美術部の評価を得ることができる。
この勝利こそ、美術部員全てへの最大の慰めとなる。
部員よ立て! 苦しみを喜びに変えて、立てよ! 部員よ!
我ら美術部員は自己を自由に表現できる存在であることを忘れないでほしいのだ。